親が亡くなった後、あるいは施設に入った後、
実家をどうするか考えなければならない時期が来ます。
悲しみや気持ちの整理がつかないまま、
相続の手続きや実家の管理に追われている方も多いのではないでしょうか。
「売却」という選択肢が頭にあっても、
何から手をつければよいのか分からず、
時間だけが過ぎてしまうこともあります。
この記事では、実家を売却するまでの一般的な流れと、
各段階で必要になる手続きを整理してご紹介します。
売ると決めた方だけでなく、迷っている方の判断材料としても
お使いいただければと思います。
売却を検討する前に確認したいこと
この方法が向く場合:遠方に住んでいて管理が難しい、相続人が複数いて現金で分けたい、
実家を使う予定が今後もない、といった事情がある場合は、売却が現実的な選択肢になります。
別の方法を検討したい場合:思い出が深く手放す決断がまだつかない、
将来住む可能性がある、賃貸として活用できそうといった場合は、
急いで結論を出さず、保留や賃貸も含めて考える余地があります。
売却までの大まかな流れ
実家の売却は、相続の手続きと並行して進むことが多く、
順番が前後することもあります。
おおよその流れは次のとおりです。
- 相続人の確認と遺産分割協議(相続する場合)
- 相続登記の申請(名義変更)
- 家財の片付けと搬出
- 不動産会社への査定依頼
- 媒介契約の締結
- 売却活動(内覧対応など)
- 売買契約の締結
- 決済・引き渡し
- 確定申告(譲渡所得が出た場合)
相続登記は2024年から義務化されており、
名義が故人のままだと売却手続きを進められません。
登記の期限や進め方については
実家の相続登記はいつまでに?義務化後の手続き
で詳しく触れていますので、あわせてご確認ください。
相続人が複数いる場合の進め方
兄弟姉妹で相続する場合、
実家を「誰がどう所有するか」を先に決める必要があります。
代表者一人の名義にして売却代金を分ける方法や、
共有名義のまま売却する方法など、いくつかの選択肢があります。
ここで意見がまとまらないまま進めると、
後々のトラブルにつながることもあります。
分け方の考え方については
実家を兄弟で相続する場合の分け方の選択肢
も参考になります。
話し合いの進め方に不安がある場合は
実家じまいで兄弟と揉めないための話し合いの進め方
もあわせてご覧ください。
家財を片付けてから売るか、残したまま売るか
実家を売却する前に、家財をすべて片付けるのが一般的ですが、
必ずしもそうしなければならないわけではありません。
家財を残したまま売却できるケースもあり、
どちらが現実的かは実家の状態や時間的な余裕によって変わります。
詳しくは
家財を残したまま実家を売却できるのか
をご覧ください。
片付けを進める場合は、どこから手をつけるかで
作業の負担が大きく変わります。
実家の片付けはどこから始める?失敗しない手順
も参考にしてください。
査定から売却活動までの実務
相続登記が済み、家財の扱いが決まったら、
不動産会社に査定を依頼する段階に進みます。
査定額は会社によって幅があるため、
複数社に依頼して比較することが一般的です。
査定の際には、間取り図や登記情報など
いくつかの書類が必要になります。
実家の間取り図と登記情報の調べ方
を事前に確認しておくと、査定依頼がスムーズです。
また、通帳や権利証など重要書類の所在が
分からないまま進めてしまうケースも多く見られます。
実家の通帳や権利証など重要書類の探し方
もあわせて確認しておくと安心です。
| 方法 | 特徴 | 売却までの目安期間 | 価格の傾向 |
|---|---|---|---|
| 仲介(一般的な売却) | 不動産会社が買主を探す。内覧対応が必要 | 数か月〜半年程度が目安 | 市場価格に近くなりやすい |
| 買取 | 不動産会社が直接購入。内覧対応の負担が少ない | 数週間〜1か月程度が目安 | 仲介より低くなる傾向がある |
| 更地にして売却 | 解体費用がかかるが買い手がつきやすい場合がある | 解体期間を含め数か月程度 | 立地や状態により幅がある |
解体を検討する場合の費用感については
実家を解体する費用の目安と更地にする判断
をご覧ください。
更地にすると固定資産税の扱いが変わる点にも
注意が必要です。
実家を解体して更地にすると税金はどうなるか
もあわせてご確認ください。
売る前に「貸す」という選択肢も
実家を手放すことにためらいがある場合、
売却以外に賃貸として活用する方法もあります。
どちらが向いているかは、実家の立地や状態、
今後の見通しによって変わってきます。
実家を売るか貸すかの判断基準
では、両者の考え方を整理していますので、
結論を急がず一度目を通してみてください。
すぐに決められない場合は、当面の管理だけを整える
実家を売らずに活用する選択肢|賃貸・管理・保留
という方法もあります。
- 相続登記が済んでいないと売却手続きは進められません。
まず名義の確認から始めましょう。 - 売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は、
翌年に確定申告が必要になることがあります。
税理士や税務署への相談も検討してください。 - 相続人が複数いる場合、代金の分け方について事前に合意しておくと、
後のトラブルを避けやすくなります。 - 空き家のまま長期間放置すると、
管理責任や税制上の不利益が生じることがあります。
売却を保留する場合も、
最低限の管理は続けておくと安心です。
空き家を放置した場合に生じうるリスクについては
空き家になった実家を放置するとどうなるか
にまとめています。
判断がまだつかない方は、こちらも参考にしてください。
よくある質問
Q. 相続登記が終わっていないと売却の相談すらできませんか。
査定の相談自体は可能な不動産会社もありますが、
実際に売買契約を進めるには相続登記が完了している必要があります。
早めに名義の状況を確認しておくと、後の手続きがスムーズです。
Q. 家財が残ったままでも査定は受けられますか。
査定自体は家財が残っていても対応してもらえることが多いです。
ただし、実際の売却時に片付けが必要になるかどうかは
物件や不動産会社の方針によって異なりますので、事前に確認しておくと安心です。
Q. 売却するかどうか、
まだ気持ちの整理がついていません。
売却は一度決めたら後戻りできない選択です。
気持ちの整理がつかないうちは、無理に結論を出す必要はありません。
当面の管理だけを整えて、時間をかけて考える方も少なくありません。
Q. 兄弟の意見がまとまらない場合はどうすればよいですか。
代金の分け方や売却時期について、
お互いの事情を出し合いながら話し合う時間を作ることが大切です。
話し合いが難航する場合は、専門家を交えて整理する方法もあります。
まとめ ― 実家じまい研究所 編集部
実家の売却は、相続登記、家財の整理、査定、売却活動、
確定申告といった複数の手続きが順に絡み合う手続きです。
どの段階も一度にすべてを進める必要はなく、
ご自身と家族のペースで一つずつ確認していくことができます。
まずは実家の名義がどうなっているかを確認するところから
始めてみてはいかがでしょうか。
― 実家じまい手帖 編集部
