親が長く暮らした実家を解体すると決めたものの、
見積もりを取り寄せる段階になって初めて
「アスベスト事前調査」という言葉を目にした方も
多いのではないでしょうか。
昭和期から平成初期に建てられた住宅には、
屋根材や外壁材、断熱材などに
アスベスト(石綿)が使われていた時期があります。
解体工事の前にこの調査が必要かどうか、
そしてどこまで見積もりに含まれているかは、
工期にも費用にも関わる大切な確認事項です。
難しい専門用語も出てきますが、
この記事では「何を、いつ、誰に確認すればよいか」を
整理してお伝えします。
急いで結論を出す必要はありません。
ご自身のペースで判断材料を集めていただければと思います。
この記事で確認できること
この方法が向く場合: 解体を検討中で、
まだ業者に相談していない方。
見積書のどこを見ればよいか事前に知っておきたい方。
別の方法を検討したい場合: すでに調査を済ませ、
結果への対応を検討している方は、担当業者や専門家に直接相談する段階に進んでよいでしょう。
アスベスト事前調査とはどんな手続きか
アスベスト(石綿)は、耐火性や断熱性に優れる一方で、
吸い込むと健康に影響を及ぼす可能性があるとされ、
現在は新たな使用が禁止されています。
しかし過去に建てられた建物には、
屋根のスレート材、外壁のサイディング、
天井裏の断熱材などに使われている例があります。
2022年4月から、建築物の解体・改修工事を行う際には、
延べ床面積や請負金額に関わらず、
アスベストの使用状況を事前に調査することが
法律で義務づけられました。
これは大気汚染防止法と石綿障害予防規則に基づくもので、
個人の住宅であっても対象になります。
調査は、有資格者(石綿含有建材調査者など)が
設計図書の確認や現地でのサンプル採取を行い、
必要に応じて分析機関で成分を調べる、
という流れで進むのが一般的です。
どんな建物が調査の対象になるか
結論から言うと、木造・鉄骨・RC造を問わず、
解体工事を行うほぼすべての建物が事前調査の対象です。
「築年数が浅いから調査は不要」ということはなく、
2006年以前に着工された建物は特に、
アスベスト含有建材が使われている可能性が高いとされます。
一方で、調査そのものは義務であっても、
実際にアスベストが検出されるかどうかは
建物ごとに異なります。
調査の結果「使用なし」と判定されれば、
特別な除去工事は発生せず、
通常の解体工事に進むことができます。
つまり、調査=必ず追加費用が発生する、
というわけではない点は覚えておいていただきたいところです。
調査の流れと、誰が担当するのか
事前調査は、解体工事を請け負う業者が
自社で有資格者を抱えているか、
外部の調査専門業者に委託して実施します。
どちらの場合も、調査結果は
所定の様式で記録・保存することが義務づけられており、
一定規模以上の工事では、
労働基準監督署や自治体への報告も必要になります。
読者の方が実際に行うべきことは、
主に次の3点です。
- 解体業者に「事前調査は誰が、いつ実施するか」を確認する
- 調査結果の報告書(写し)を受け取れるか確認する
- 調査費用が見積書のどこに計上されているか確認する
見積もり時に確認しておきたい項目
解体工事の見積書は、内容が「一式」とまとめられ、
内訳が分かりにくいことも少なくありません。
アスベストに関しては、特に次の点を
見積もり段階で尋ねておくと、後の認識のずれを防げます。
- 事前調査費用は見積金額に含まれているか、別途請求になるか
- 調査の結果、アスベストが検出された場合の追加費用の目安
- 除去作業が必要になった場合、工期はどの程度延びる見込みか
- 調査を担当する資格者の氏名・資格の種類を教えてもらえるか
- 調査結果報告書の写しを引き渡してもらえるか
特に、アスベストが検出された場合の追加費用については、
「検出された建材の種類」によって除去方法や費用感が
大きく変わります。
見積もり時点で「もし出たらいくらか」の
目安だけでも聞いておくと、後の資金計画が立てやすくなります。
| 調査結果 | 工事への影響 | 費用感の目安 |
|---|---|---|
| アスベスト使用なし | 通常の解体工事に進める | 調査費用のみ(数万円程度が目安) |
| レベル3(比較的飛散しにくい建材) | 通常の解体手順に近いが、養生や届出が必要 | 追加費用が発生する場合あり |
| レベル1・2(飛散性が高い建材) | 専門業者による除去工事が先行して必要 | 除去範囲により幅があり、事前見積もりの確認が重要 |
表の金額はあくまで目安であり、
建材の種類や範囲、地域によって幅があります。
正確な費用は、調査結果が出た段階で
業者から改めて説明を受けるようにしてください。
見積もり比較で見落としやすい点
- 「事前調査費込み」と書かれていても、
分析まで含むかは業者により異なります - 調査を省略して「アスベストなしと想定」で契約を進めようとする業者には注意が必要です
- 調査結果報告書は、後日のトラブル防止のためにも必ず受け取り、
保管しておきましょう - 自治体によっては、調査費用や除去費用の一部を補助する制度がある場合があります
複数社に相談するときの考え方
アスベスト調査は義務であるため、
「調査をするかしないか」を業者と交渉する必要はありません。
確認すべきは「誰が、どのように調査し、
その結果をどう見積もりに反映するか」という部分です。
1社だけの説明では判断材料が偏ることもあるため、
複数の業者に同じ質問を投げかけ、
回答の丁寧さや説明の分かりやすさを
比較材料にする方法もあります。
見積もりの内訳や対応の姿勢を見ることで、
工事全体を安心して任せられるかどうかの
判断につながります。
Q. アスベスト調査をしないまま解体を頼むことはできますか?
法律で義務づけられているため、
調査を省略して解体することは認められていません。
調査を行わない、または結果を偽って報告する業者には注意が必要です。
Q. 調査費用はどのくらいかかりますか?
建物の規模や調査箇所の数によって幅がありますが、
簡易な調査であれば数万円程度、分析が必要な場合はそれに分析費用が加わることが一般的です。
正確な金額は見積もり時に確認してください。
Q. アスベストが見つかったら解体できなくなりますか?
解体自体はできますが、法律に基づいた除去や飛散防止措置を行った上で進める必要があります。
工期が延びたり、費用が追加になったりする点は事前に理解しておくと安心です。
Q. 調査だけを先に依頼することはできますか?
解体を依頼する業者と調査を担う業者が別でも問題ない場合が多いです。
解体の見積もりを取る前に、調査だけを先に済ませておきたいという相談も可能ですので、
業者に確認してみてください。
関連して確認しておきたいこと
解体を検討する際は、アスベスト調査だけでなく、
工事全体の流れや費用感、業者の選び方も
合わせて確認しておくと、見積もり比較がしやすくなります。
解体費用の目安については
実家を解体する費用の目安と更地にする判断で、
業者選びのポイントは
実家の解体業者の選び方|許可・登録と契約前に確認する書類で
詳しく触れています。
見積書に「一式」と書かれた項目が多く、
内訳が分かりにくいと感じた場合は
解体工事の見積書に「一式」が多いとき|契約前に内訳を確認する方法も
参考になります。
工事全体のスケジュール感については
実家の解体工事の流れと工期の目安で、
近隣への配慮については
実家の解体工事前の近隣挨拶で
それぞれ整理しています。
また、自治体の解体補助金を利用したい場合は、
申請のタイミングが工事開始前であることが多いため、
空き家の解体補助金はいつ申請する?工事を頼む前に確認する順番も
併せてご確認ください。
まとめ ― 調査は義務、費用と工期は結果次第
アスベストの事前調査は、建物の築年数や規模を問わず、
解体工事において法律で義務づけられた手続きです。
調査そのものに大きな不安を持つ必要はありませんが、
結果によって費用や工期が変わる可能性があるため、
見積もり段階で内訳や対応方針を確認しておくことが大切です。
まずは検討中の解体業者に、
「調査の実施時期」「費用の内訳」「結果報告書の有無」を
一つずつ尋ねることから始めてみてください。
複数社に見積もりを確認してみませんか
― 実家じまい手帖 編集部
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