親御さんの施設入居が決まり、
「では実家はどうしましょうか」という話が
急に目の前に降りてきた、という方は多いものです。
相続の片付けとは違い、
親御さんはまだお元気で、
判断も気持ちも共有できる状態にあります。
それでいて、入居日という期限が
すでに決まっているケースも多く、
「ゆっくり考える時間がない」という
独特の焦りを感じている方が少なくありません。
この記事では、施設入居のタイミングに
実家をどこまで、どの順番で片付けるか、
実家そのものをどう扱うかについて、
判断の材料を整理していきます。
急いで決めなくてよいことと、
先に手をつけておくと後が楽になることを
分けて考えていきましょう。
この記事の使い方の目安
この方法が向く場合:入居までの日数が1〜2週間程度と限られていて、
まずは「入居に必要な物」と「実家に残してよい物」を整理したい方。
実家自体の売却や賃貸はいったん保留にしたい方。
別の方法を検討したい場合:入居後に落ち着いて片付けたい方や、
認知症などで本人の意思確認が難しい状況にある方は、
この記事に加えて後述の関連記事も合わせてご確認ください。
施設入居に合わせた片付けは「全部」でなくてよい
相続後の実家じまいと違い、
施設入居のタイミングでは
家そのものを手放すかどうかまで
決める必要はありません。
まず必要なのは、
入居先に持っていく物をまとめることと、
当面のあいだ空き家として置いておく実家を
安全に管理できる状態にすることです。
押入れの奥や物置の中まで
すべて片付けるのは、
このタイミングでは急がなくて大丈夫です。
「実家を将来どうするか」は
親御さんが施設での生活に慣れたあと、
ゆっくり相談していく話として
いったん分けて考えるのも一つの方法です。
入居までにやっておきたいことの優先順位
限られた日数の中では、
優先順位をつけて動くことが助けになります。
以下は一つの目安です。
- 入居先に持っていく身の回りの品(衣類、
身分証、常備薬、愛用品など) - 通帳、保険証、権利証などの重要書類の場所の確認
- 実家の鍵の管理方法と、見回りをする人の確認
- 電気・水道・ガスなど契約の見直し(すぐに止めるかどうかは保留でも構いません)
- 冷蔵庫の中身や生ものなど、傷むものの処分
逆に、着物や写真、思い出の品といった
時間をかけて向き合いたい物については、
このタイミングで無理に結論を出さず、
「保留」として一区画にまとめておくだけでも
十分な進捗になります。
本人の意思をどこまで確認できるか
施設入居のタイミングでの片付けの
もっとも大きな特徴は、
親御さん本人に「これはどうしたい」と
聞ける可能性が残っていることです。
すべての品について確認する時間はなくても、
特に思い入れが強そうな物、
例えば仏壇や位牌、写真、着物などについては、
一言でも本人の意向を聞いておくと、
後になって「聞いておけばよかった」という
気持ちの負担を減らせることがあります。
一方で、認知症などにより
本人の意思確認が難しい状況にある場合は、
ご家族の判断で進めていく部分が増えます。
その場合の考え方については、
親が認知症のときの実家の片付けの進め方も
参考にしてみてください。
実家をどうするかは、入居後に考えても遅くない
「施設に入るなら実家も早く処分すべきでは」
と考える方もいますが、
必ずしもそうとは限りません。
実家を空き家として管理しながら、
しばらく保留にしておく選択も
十分に現実的です。
ただし、空き家のまま何年も放置すると
別の問題が出てくることもあるため、
管理の見通しだけは早めに立てておくと
安心につながります。
この先の選択肢としては、
おおまかに次の3つが考えられます。
- 当面は空き家として管理し、判断を保留する
- 賃貸として貸し出し、収入や管理の負担を検討する
- 将来的な売却を視野に、少しずつ準備を進める
どれを選ぶにしても、
このタイミングでは「今すぐ決める」必要はなく、
実家を売らずに活用する選択肢も含めて、
時間をかけて検討していけます。
短期間での片付け方法の比較
限られた日数の中で、
どこまで自分で進め、どこから人手を借りるか。
方法ごとの特徴を整理しました。
| 方法 | 向いている状況 | 費用感の目安 | 手間 |
|---|---|---|---|
| 身の回りの品だけ自分で用意 | 入居までの日数が短く、他は保留したい場合 | ほぼかからない | 少ない |
| 生活ゴミ・傷むものの処分だけ依頼 | 重い物や量が多く、自分では運びにくい場合 | 数千円〜数万円程度(幅があります) | 中程度 |
| 遺品整理業者に一部依頼 | 日数が少なく、家財の分別も含めて任せたい場合 | 数万円〜十数万円程度(幅があります) | 少ない |
| 全体を保留し管理だけ整える | 今は片付けに手をつける余裕がない場合 | 見回りの手配費用のみ | 少ない |
「全部やらないと」と思うほど
気持ちが重くなりやすい作業ですが、
今回は必要な範囲だけを進め、
残りは後に回すという考え方も
十分に選択肢の一つです。
業者に依頼するかどうかの判断材料は
遺品整理業者に頼むか自分でやるかの判断基準で
詳しく整理しています。
進める前に確認しておきたいこと
- 入居先の持ち込み可能な物のリストを事前に確認しておくと、
当日の判断がスムーズになります。 - 通帳や保険証などの重要書類は、施設に持っていく分と
実家で保管する分をあらかじめ分けておくと安心です。 - 空き家になる期間が予想より長くなる可能性もあるため、
鍵の管理者と見回りの頻度は決めておきましょう。 - 兄弟姉妹がいる場合は、今回の片付けの範囲について一度連絡を取っておくと、
後の行き違いを防げます。
よくある質問
Q. 入居までに実家を全部片付ける必要はありますか。
必ずしもそうではありません。
入居に必要な物の準備と、
空き家として管理できる状態を整えることが
このタイミングでの優先事項です。
家全体の片付けは、状況が落ち着いてから
改めて取り組むこともできます。
Q. 本人に何を聞いておくべきですか。
時間が限られていても、
仏壇や写真、着物など思い入れの強い物については
できる範囲で意向を聞いておくと、
後になって振り返りやすくなります。
すべてを聞けなくても構いません。
Q. 実家をそのままにしておいても大丈夫でしょうか。
当面は空き家として管理する選択も現実的です。
ただし見回りや管理の見通しを立てておかないと、
後で対応が必要になる場合があります。
管理の方法だけは早めに決めておくと安心です。
Q. 業者に頼むタイミングはいつがよいですか。
入居までの日数が少なく、
自分たちだけでは対応しきれない量がある場合は、
早めに見積もりを取っておくと安心です。
依頼する範囲を絞れば、費用や手間を
抑えられることもあります。
まとめ ―
施設入居に合わせた実家の片付けは、
相続の片付けとは異なり、
今すぐ全部を終わらせる必要はありません。
入居に必要な物の準備と、
空き家を安全に管理できる体制を整えることを
まず優先し、実家全体の片付けや将来の扱いは
落ち着いてから考えていくこともできます。
できる範囲から一つずつ、
ご自身とご家族の状況に合わせて
進めていってください。
片付けの手順全体を確認したい方は
実家の片付けはどこから始める?失敗しない手順、
作業にかかる期間の見通しを立てたい方は
実家の片付けにかかる期間の目安とスケジュールの立て方も
合わせてご覧ください。
― 実家じまい手帖 編集部
