親御さんが亡くなられた後、あるいは施設に入られた後に残される物の中で、
最も扱いに困るもののひとつがスマートフォンかもしれません。
本棚や食器と違って、中身が見えない。
ロックがかかっていて、開くことすらできない。
それでも携帯電話の契約は毎月料金が発生し続けますし、
スマホの中には銀行口座や写真、連絡先など、
他の手続きに必要な情報が詰まっていることもあります。
「早く解約しないと」と焦る必要はありません。
ただし、何も確認しないまま解約してしまうと、
後から必要になる情報を取り出せなくなることがあります。
この記事では、確認すべきことと、解約の順番の考え方を整理します。
すべてを一度にやろうとせず、ご自身のペースで進めていただければと思います。
この記事の考え方が向いているかどうかの目安
この方法が向く場合:スマホの中身を確認してから解約したい/
ネット銀行やサブスクの契約が残っていないか心配/
何から手をつければよいか分からず止まっている
別の方法を検討したい場合:携帯電話ショップの店員や、遺品整理業者、
司法書士など専門家にまとめて相談したい場合は、
無理に自分だけで進めようとせず頼ることも選択肢です
まず確認したい、スマホ本体のロックとID
スマホの画面ロックが解除できない場合、多くの手続きが止まってしまいます。
まず確認したいのは次の3点です。
- 画面ロックの暗証番号や指紋・顔認証の代わりになる方法
(家族の顔や指紋が登録されていないか) - AppleIDやGoogleアカウントのID・パスワード
(手帳やメモに残されていることがあります) - キャリア(携帯電話会社)のマイページのID・パスワード
これらが分からない場合、無理にロックを解除しようとせず、
キャリアのショップに相談する方法があります。
契約者本人が亡くなっている場合、
相続人であることを証明する書類(戸籍謄本など)を持参すれば、
本体のデータを取り出せなくても、契約の解約手続き自体は進められることが多いです。
重要書類の探し方については、
実家の通帳や権利証など重要書類の探し方もあわせてご覧ください。
デジタル遺品として確認しておきたい契約・サービス
スマホの中には、目に見えない契約がいくつも潜んでいます。
以下は、多くのご家庭で見つかることの多い項目です。
すべてに当てはまるとは限りませんので、
当てはまるものだけ確認していただければ十分です。
- 携帯電話回線の契約(キャリア・格安SIM)
- 自宅のインターネット回線(光回線・モバイルWi-Fiなど)
- ネット銀行・ネット証券の口座
- クレジットカードの明細確認(アプリ経由の請求がないか)
- 動画・音楽の月額配信サービス(サブスクリプション)
- ゲームアプリ内の課金
- フリマアプリやポイントサービスのアカウント
- クラウドサービス(写真やデータの保存先)
特にサブスクリプションは、クレジットカードの明細から気づくことが多く、
見落とすと数か月分の料金が引き落とされ続けてしまうことがあります。
固定電話やNHK、新聞といった契約もあわせて確認しておくと、
漏れが少なくなります。
詳しくは親が亡くなった後に解約する契約の一覧をご参照ください。
解約の順番の考え方
「何から解約すればよいか」という問いには、実は明確な正解がありません。
ただ、多くの方が困りにくい順番として、次のような考え方があります。
まず、スマホ本体のロック解除やアカウント情報の確認を優先します。
これを後回しにして通信契約だけ先に解約してしまうと、
SMS認証が必要な手続き(銀行やアプリのパスワード再設定など)
が使えなくなることがあります。
次に、ネット銀行やクレジットカードなど、お金に関わる契約の有無を確認します。
見落としがあると、後日思わぬ請求が来ることがあるためです。
その後、サブスクリプションやアプリの課金を止め、
最後に携帯電話回線そのものを解約する、
という流れが比較的トラブルが少ないとされています。
ただし、遺品整理を四十九日の前に急いで進める必要はありません。
相続放棄を検討している場合は、契約の解約や財産の処分が
「相続を承認した」とみなされる可能性もあるため、
迷う場合は先に確認しておくと安心です。
時期の考え方については遺品整理はいつから始める?もご参考になるかと思います。
| 確認・対応の項目 | 優先度の目安 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 画面ロック・ID確認 | 最優先 | 解除できないとその後の確認が進まない |
| ネット銀行・証券口座 | 高い | 相続財産に関わるため見落とし厳禁 |
| クレジットカード明細 | 高い | サブスク課金の発見に有効 |
| サブスク・アプリ課金 | 中程度 | 解約手続きがアプリ内で必要な場合あり |
| 携帯電話回線・ネット回線 | 中程度〜最後 | SMS認証が必要な手続きが残っていないか確認後 |
| 写真・データのクラウド保存 | 残す場合は先に対応 | 解約後に取り出せなくなることがある |
- 写真やメッセージなど、残しておきたいデータがある場合は、
解約や初期化の前にバックアップを確認してください。 - スマホの中の情報がすべて必要とは限りません。
残す・残さないは、ご家族で話し合って決めていただいて構いません。 - キャリアのショップでは、契約者が亡くなっている場合の
解約手続きについて相談窓口が用意されていることが多いです。
分からないことは店頭で確認することをおすすめします。 - パソコンにも同様のデジタル遺品が残っていることがあります。
あわせて実家のパソコンを処分する手順とデータ消去もご確認ください。
Q. スマホのロックがどうしても解除できません。
どうすればよいですか。
無理に解除しようとせず、契約しているキャリアのショップに相談する方法があります。
相続人であることを示す戸籍謄本などがあれば、
本体のデータが取り出せなくても契約の解約自体は進められることが多いです。
Q. サブスクの解約を忘れたまま数か月経ってしまいました。
返金してもらえますか。
サービスによって対応は異なります。
まずは各サービスの問い合わせ窓口に、
契約者が亡くなった旨を伝えて相談してみてください。
すべてのケースで返金されるとは限らない点はご了承ください。
Q. 写真データはどう扱えばよいですか。
すべて残すべきですか。
すべてを残す必要はありません。
ご家族にとって思い出深いものだけを選んで保存し、
残りは判断を保留にしておくという方法もあります。
写真の残し方については
実家の写真とアルバムをどうするもご参考にしてください。
Q. 自分だけで確認するのが難しいと感じています。
誰かに頼めますか。
片付け全体を含めて、遺品整理業者に相談することも選択肢のひとつです。
デジタル機器の扱いに慣れた業者もありますので、
遺品整理業者に頼むか自分でやるかの判断基準を参考に検討してみてください。
まとめ ― 確認を先に、解約は焦らずに
スマホの中には、お金に関わる契約から思い出の写真まで、さまざまなものが詰まっています。
まずはロックとIDの確認、次にお金に関わる契約の有無を確認し、
その後にサブスクや回線契約を整理していくと、見落としが少なくなります。
すべてを一度に終わらせる必要はありません。
分からないことがあれば、キャリアのショップや専門業者に相談しながら、
少しずつ進めていただければと思います。
― 実家じまい手帖 編集部
