親御さんが亡くなられた、あるいは施設に入られたあと、
実家に残された荷物と向き合う時期がやってきます。
そのとき多くの方が悩むのが、「遺品整理業者に頼むか、自分たちで片付けるか」という選択です。
気持ちの整理がつかないうちに、退去期限や相続の手続きが迫ってくることも少なくありません。
この記事では、業者に依頼する場合と自分で行う場合、それぞれの費用感・労力・向き不向きを整理します。
どちらが正しいということはなく、ご家族の状況に合わせて選んでいただくための材料としてお使いください。
まず確認したい判断の目安
業者依頼が向く場合: 実家が遠方にある、荷物の量が多い、
退去や売却の期限が迫っている、心身の負担を減らしたい、家族の誰かが立ち会えない日程が多い。
自分で進めるのが向く場合: 実家が近く何度も通える、荷物が比較的少ない、
期限に余裕がある、費用をできるだけ抑えたい、形見の品を自分の目で一つずつ確認したい。
遺品整理業者に頼む場合の費用感と特徴
遺品整理業者に依頼した場合の費用は、部屋の広さや荷物の量、
建物の階数やエレベーターの有無によって大きく変わります。
おおまかな目安として、1Rや1Kであれば数万円台から、
一戸建てで荷物が多い場合は数十万円台になることもあり、幅があると考えておいてください。
業者に依頼する最大の利点は、体力的・時間的な負担が大きく減ることです。
仕分け、搬出、清掃までを一括で任せられるため、遠方に住んでいる方や、
複数の実家じまいの手続きを同時に進めている方には現実的な選択肢になります。
一方で、費用がかかること、業者によって対応や見積もりの精度に差があること、
遺品を「大切に扱ってもらえるか」という不安が残ることがデメリットとして挙げられます。
依頼する場合は、必ず複数の業者から見積もりを取り、
内訳(作業員の人数、トラックの台数、処分費用の内訳)を確認することをおすすめします。
「一式〇〇円」とだけ書かれた見積もりは、後から追加費用を求められるケースもあるため、
事前に質問しておくと安心です。
自分たちで片付ける場合の労力と現実
自分たちで片付ける場合、費用は主に粗大ごみの処分費用や資材の購入費に限られるため、
業者に依頼するより安く抑えられる傾向があります。
ただし、それは「時間と体力を家族が負担する」という前提の上に成り立っています。
実際に手を動かしてみると、想像以上に時間がかかることに驚かれる方が多くいらっしゃいます。
片付け全体にかかる期間の目安を事前に把握しておくと、スケジュールの見通しが立てやすくなります。
また、どこから手をつけるかで作業効率が大きく変わるため、
片付けの順番を先に決めておくことも大切です。
自分で進める最大の利点は、一つひとつの品物を自分の手で確認しながら進められることです。
思い出の品や重要書類を見落とすリスクが減り、心の整理をしながら進められるという声もあります。
一方で、兄弟姉妹で作業を分担する場合、進め方や残す物の基準をめぐって
意見が食い違うこともあるため、事前の話し合いをしておくと後々のトラブルを防ぎやすくなります。
併用という選択肢もある
「全部業者に任せる」か「全部自分でやる」かの二択だけではありません。
形見として残したい品や重要書類だけ先に自分たちで取り分け、
残りの大きな家具や大量の荷物の搬出だけを業者に依頼するという併用の方法もよく選ばれています。
この方法であれば、費用を抑えつつ、思い出の品を自分の目で確認できるという両方の利点を活かせます。
最初に重要書類の見分け方を確認し、必要な物を確保してから、残りの処分を検討する順番がおすすめです。
| 方法 | 費用目安 | かかる時間 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 業者に一括依頼 | 数万円〜数十万円台(幅あり) | 半日〜数日 | 遠方在住・期限が迫っている・荷物が多い |
| 自分たちで対応 | 粗大ごみ処分費のみ(数千円〜) | 数週間〜数か月 | 近隣在住・期限に余裕がある・費用を抑えたい |
| 併用(一部を業者に依頼) | 一括依頼より抑えられる傾向 | 数日〜数週間 | 思い出の品は自分で選びたいが負担も減らしたい |
- 見積もりは必ず複数社から取り、内訳を確認する。
- 「即日対応」「格安」を強調する業者には、
追加費用の有無を事前に確認する。 - 供養が必要な仏壇や人形などは、閉眼供養の手順を業者と相談しながら進める。
- 作業日には家族の誰かが立ち会い、
残す物の最終確認をしておく。 - 粗大ごみとして自分で出す場合は、自治体のルールと搬出手順を事前に確認しておく。
よくある質問
Q. 業者に頼むと形見の品も一緒に処分されてしまいませんか。
事前に「残したい物リスト」を業者に伝え、
作業前に取り分けておけば、誤って処分されることは基本的にありません。
不安な場合は、貴重品や思い出の品だけ先にご自身で確保しておくと安心です。
Q. 自分たちでやる場合、何から手をつければよいですか。
重要書類や貴重品の確認を最初に行い、その後は場所ごとに区切って
進める方法が負担を減らしやすいとされています。
片付けの始め方を参考に、
無理のない範囲で進めてみてください。
Q. 見積もりが安い業者を選べば問題ないですか。
金額の安さだけで選ぶと、後から追加費用が発生したり、
対応が雑になったりする可能性もあります。
金額と合わせて、作業内容の説明が丁寧か、
質問に誠実に答えてくれるかも確認材料にしてください。
Q. 一度に決めなくてはいけませんか。
期限のある手続きもありますが、
すべてを一気に決める必要はありません。
一部だけ先に業者に相談し、残りは家族の状況を見ながら進めるという保留の選択も可能です。
まとめ ― 費用と労力、
どちらを優先するかで選び方は変わる
業者に依頼すれば費用はかかりますが、時間と体力の負担を大きく減らせます。
自分たちで進めれば費用は抑えられますが、その分の時間と労力が必要になります。
どちらか一方に決めきれない場合は、思い出の品だけ先に取り分け、
残りを業者に任せるという併用の方法も現実的な選択肢です。
まずはご家族の状況、期限、体力面を整理しながら、
無理のない進め方を選んでいただければと思います。
― 実家じまい手帖 編集部
