親御さんが施設に入居されたり、
病院から実家に戻ることなく
旅立たれたりした後、
部屋の隅に介護ベッドや車椅子、
歩行器などが残されていることがあります。
「これは処分していいのか、
それとも返さなければいけないものなのか」
と手が止まってしまう方は少なくありません。
実は介護用品の中には、
介護保険を使ってレンタルしていたものと、
ご家族が実費で購入したものが
混在していることが多く、
この見分けを誤ると
後から思わぬ請求を受けることもあります。
この記事では、
レンタル品と購入品の見分け方、
それぞれの処分の進め方について、
順を追って整理します。
急いで判断する必要はありません。
まずは状況を確認するところから
始めていただければと思います。
まず確認したいポイント
この方法が向く場合:介護保険証やケアマネジャーの連絡先が分かる、
または本体に事業者名のシールが貼ってある場合は、
まず返却の要否を確認するところから始められます。
別の方法を検討したい場合:契約書類が見当たらず連絡先も分からない場合は、
後述の確認方法を一つずつ試しながら、
購入品と分かった時点で処分方法を検討する進め方でも構いません。
レンタル品と購入品はここが違う
介護ベッドや車椅子、歩行器、手すりなどの
福祉用具は、要介護認定を受けている場合、
介護保険を使って月々の負担でレンタルできる
仕組みがあります。
このため実家にある介護用品の多くは、
購入したものではなく
レンタル会社からの貸与品である
可能性があります。
レンタル品を誤って処分してしまうと、
弁償や買い取りを求められることがあるため、
まずは次の点を確認してください。
- ベッドのフレームや車椅子の裏側に、
福祉用具貸与事業者の名前やシールが
貼られていないか - 介護保険証や介護サービス利用票、
ケアマネジャーの名刺が
見つからないか - 通帳の引き落とし記録に、
福祉用具レンタル会社への
継続的な支払いがないか - 入居していた施設や
お世話になった地域包括支援センターに
問い合わせられないか
これらの手がかりから
レンタル会社が特定できれば、
電話一本で引き取りの手配をしてもらえることが
ほとんどです。
連絡が取れない場合は、
親の施設入居に合わせた実家の片付けの記事で
触れているように、
入居時にお世話になったケアマネジャーや
施設の相談員に確認するのも一つの方法です。
レンタル品だった場合の返却の流れ
レンタル品と分かった場合は、
慌てて解約や返却をする必要はありません。
まずはレンタル事業者に連絡し、
利用者が施設に入居した、
あるいは亡くなったことを伝えます。
多くの事業者は自宅まで引き取りに
来てくれるため、
ご家族が搬出作業をする必要はありません。
解約の連絡が遅れても、
多くの場合は連絡した時点で
利用終了として扱われ、
過去にさかのぼって
高額な請求をされることは
一般的ではありません。
ただし事業者ごとに扱いが異なるため、
請求の締め日については
一度確認しておくと安心です。
購入品だった場合の選択肢
一方、家族が実費で購入した
介護ベッドや車椅子、
ポータブルトイレ、入浴補助具などは
返却の必要がなく、
ご家族の判断で処分や譲渡が可能です。
この場合は次のような選択肢があります。
- 次に使う人へ譲渡する
親族や知人で必要としている方がいれば、
譲ることも一つの形です。
介護用品は消毒や状態確認が
必要になることが多いため、
渡す前に状態を伝えておくと安心です。 - 福祉用具の買取業者に相談する
比較的状態が良いものは、
福祉用具専門の買取業者や
リサイクル業者が引き取ってくれる場合があります。
買取価格がつくかどうかは
製品の年式や状態によって幅があります。 - 自治体の粗大ごみとして出す
引き取り手が見つからない場合は、
粗大ごみとして処分する方法もあります。
自治体によって受け付け可否や
料金が異なるため、
事前の確認が必要です。
手順は実家の粗大ごみを出す手順で
詳しく紹介しています。 - 不用品回収業者に依頼する
他の家財と合わせて
まとめて処分したい場合は、
回収業者に依頼する方法もあります。
買取業者と回収業者の違いは
買取業者と不用品回収業者の違いで
整理していますので、
合わせてご確認ください。
迷う場合は、
すぐに答えを出さず
一時的に物置や空いた部屋に保留しておく
という選択も間違いではありません。
他の片付けの優先順位については
実家の片付けの手順も参考になります。
| 方法 | 費用感の目安 | 手間 | 向くケース |
|---|---|---|---|
| レンタル事業者への返却 | 原則費用なし | 連絡のみで搬出は業者対応 | レンタル品と判明した場合 |
| 親族・知人への譲渡 | 無償が一般的 | 相手探しと搬送の調整が必要 | 必要としている人が身近にいる場合 |
| 福祉用具の買取業者 | 状態により幅あり | 査定の依頼と日程調整 | 比較的新しく状態が良い場合 |
| 自治体の粗大ごみ | 数百円〜数千円程度が目安 | 申込みと指定日の搬出 | 引き取り手がなく自分で処理したい場合 |
| 不用品回収業者への依頼 | 他の家財とまとめる場合は割安になることも | 見積もりと立ち会いが必要 | 他の大型家具と一緒に処分したい場合 |
- レンタル品を自己判断で処分すると、
弁償を求められる場合があります。
判断に迷う機器は、
まず貸与元の確認を優先してください。 - 電動ベッドや電動車椅子には
バッテリーが内蔵されていることがあり、
粗大ごみとして出す際は
事前に自治体へ確認が必要です。 - 医療器具や薬品を一緒に保管していた場合は、
実家に残った薬と医療用品の処分も
合わせてご確認ください。 - 回収を依頼する業者は、
必ず許可や登録の有無を確認してください。
見分け方は悪質な不用品回収業者の見分け方で
紹介しています。
よくある質問
Q. レンタル会社が分からない場合はどうすればよいですか。
まずは要介護認定を受けていた自治体の
地域包括支援センターや、
担当だったケアマネジャーへの連絡を
試みてください。
利用していた介護サービス事業者を
たどれば、レンタル元が分かることが多いです。
Q. レンタル品をしばらく手元に置いておいても問題ありませんか。
解約の連絡さえしていれば、
引き取りの日程は相談できることが
多いです。
心の整理がついてから
連絡する形でも問題ありません。
Q. 購入したベッドや車椅子はどのくらいで売れますか。
製品の年式や使用状態によって
買取価格には幅があり、
必ず値がつくとは限りません。
まずは複数の業者に
状態を伝えて相談してみるのが
現実的な進め方です。
Q. 車椅子だけ処分して、
他の家財は後回しにしても大丈夫ですか。
介護用品だけを先に整理しても
問題ありません。
実家全体の片付けの進め方については
実家の片付けにかかる期間の目安も
参考にしてください。
まとめ ― 焦らず、まず確認から
介護ベッドや車椅子は、
レンタル品か購入品かによって
進め方が大きく変わります。
まずはシールや契約書、
ケアマネジャーへの確認から始め、
レンタル品であれば返却の連絡を、
購入品であれば譲渡・買取・処分の中から
\ご家族の状況に合った方法を選んでください。
判断に迷うときは、
無理に一度で決めず、
一旦保留にする選択も残されています。
― 実家じまい手帖 編集部
